ハードコンタクトレンズの特徴とは?
ハードレンズは直径おおよそ8.8mmのプラスティックのような素材で作られた文字通り硬いレンズです。日本人の成人の黒目の平均的な大きさが縦11.5mm、横12.0mmと言われていますから、黒目より小さい大きさのレンズということになります。
昔のハードレンズはレンズ自体が酸素を通さない素材で作られていました。そのためレンズを黒目の上に乗せると黒目に酸素が行かなくなってしまいます。そこでハードレンズを黒目より小さくし、瞬きするたびに黒目の上を動くようにデザインしました。動くことにより黒目の上にはいつも酸素をたくさん含んだ新鮮な涙が循環しますし、黒目のレンズがのっていない部分がレンズの動きに伴い、くまなく変化しますから、その部分には酸素が供給されやすいという訳です。
ハードコンタクト長所は?
★ケアが簡単(レンズをすすぐ時に水道水を使用することができます)
★乱視が矯正できる(乱視のタイプによってはハードレンズでも矯正できない乱視があります。
★寿命が長いこと。(O2レンズでおおよそ2年前後と言われています)
ハードコンタクトの短所は?
★異物感が強く、慣れるまでにおおよそ1週間~2週間ほどかかる
★激しい運動やちょっとした視線の動きで、レンズがズレたり外れたりする可能性がある
★ゴミが入ると痛い(裏を返せば、目に発生した異常にすぐ気付くということ)
ハードレンズの異物感は慣れるものなの?
ハードレンズは先にも説明したように黒目の上を動くように作られていますので、どんない性能の高いレンズ(EXレンズなど)でも異物感はそれなりにあります。では慣れてしまったら異物感はなくなるのでしょうか?いいえ。異物感がなくなることはありません。慣れてくることによって「気にならなくなる」が正解です。皆さんがよくつける腕時計や、女性の方がつけているネックレスなどと同様です。つけている感覚はいつでもあるのですが、普段気にしていないのではないでしょうか?でもその感覚がダメっていう人もいますね。つまりハードレンズも同様に、中にはその異物感にどうしても馴染めないと言う方がいます。そういう方は無理をせずに、装用感の楽なソフトレンズを選ばれることをおすすめいたします。
ハードレンズって硬いけど目にキズはつかないの?
ハードレンズは黒目の上に直接のっかっているわけではありません。黒目の上は常に涙で覆われています。ハードレンズはその涙の上に浮かんでいると思えばいいですね。そしてさらにその上から涙がかぶさるようにハードレンズを覆っているのです。ハードレンズは涙と涙の間に挟まれ、表面張力で落ちないようになっています。ハードレンズは下の図のエッジと呼ばれる部分を利用して、スキーと同じように黒目の上にある涙の上を滑らかに滑っているわけです。だから目にキズつかないようになっています。でもハードレンズと黒目の間に異物(ゴミ)等が入ってしまうとキズが付いてしまったり、また乾燥が強くなると涙は少なくなりますから、いわゆる雪の少ないところでスキーをするようなものなので、異物感が増してきたり、場合によっては目にキズがついたりしてしまいます。だからそのようなときに皆さん、コンタクトレンズ専用の目薬を点眼したりしてそれを防いでいるわけなんです。
ハードレンズはズレて目の奥の方に入って取れなくなってしまうこともあるの?
ハードレンズの短所の一つに白目にズレる場合があります。でも御安心ください。目の奥の方は下の図のように袋状になっているので取れなくなってしまうことは絶対にありません。ただご自身で取れなくなってしまった場合は、決して慌てずに眼科さんを受診してくださいね。
ハードレンズを入れるとどうして乱視が矯正できるの?
その秘密はハードレンズの硬さにあります。乱視とは一言で言うと「黒目の歪み」と言うようによく言われます。人間の黒目はまん丸く見えていますが実は縦と横の曲がり具合(カーブ)が異なる非球面の形状をしています。つまり人間の目はだれでも少なからず歪んでいるということになります。ところが乱視の強い方の場合その歪み方が強い訳です。
逆に考えると歪んでいる黒目をまん丸い状態にしてあげれば「乱視が矯正できる」と言う訳です。例えばでこぼこ道を歩きやすくするために、板とビニールシートが置かれていたらどちらを利用しますか?ビニールシートを選ぶ方はいないと思います。なぜならビニールシートをでこぼこ道に敷いたところでその形がそのまま残ってしまいますね?でも硬い板なら上から置くだけできれいな平らな形になりますね。それがハードレンズとソフトレンズの違いなんです。乱視のある方がハードレンズを薦められる理由はそこにあります。
アレルギーのある人はハードレンズの方がいいの?
アレルギーの症状をお持ちの方は、アレルギーのない方と比較するとアレルギー性の結膜炎などにもかかりやすい傾向があります。アレルギー性結膜炎にかかるとコンタクトレンズが刺激となって目やにや充血とかゆみと言った症状がでてきます。目やには涙の中の分泌物が固まってできるものです。ハードレンズの素材はプラスティックのような素材でできていますので、基本的にレンズの汚れやすさはあるもののレンズ自体が汚れを吸収することは少ないわけです。一方ソフトレンズは、例えて言うなら「乾燥ワカメ」のようなものです。つまりソフトレンズがあのように柔らかいのは、レンズが水分を吸収しているからなんです。ですから涙の分泌物が多いということはその分泌物までをソフトレンズが吸収してしまうためにレンズの劣化が早く、その劣化したレンズが刺激となりアレルギー症状が悪化すると悪いサイクルに陥ってしまいます。もちろん今は、汚れる前にレンズを交換する使い捨てコンタクトがありますから、もしアレルギーながらソフトレンズを希望されている方は、毎日捨てるワンデータイプをお薦め致します。
ハードレンズは目薬を点眼しても大丈夫なの?
先に説明したようにハードレンズの素材はプラスティックのような素材で作られているので、目薬を点眼しても薬の成分をレンズが吸収してしまうと言うことはありません。でも乾燥感を改善するための眼薬であればやっぱり「コンタクトレンズ専用」の目薬をお薦め致します。また目の病気や黒目が傷がついたときに使用する目薬であれば、それ以前にレンズの装用を中止することをお薦めいたします。それでも中止が困難な場合は眼科の先生と相談することをお薦めいたします。
長時間装用する場合はハードレンズの方が目に負担は少ないの?
コンタクトレンズを装用して一番問題になることは?と言うと目に供給される酸素の量が少なくなるということです。そのことは黒目が呼吸しているということからも理解して頂けることと思います。ハードレンズは性質上、黒目より小さく作られて、且つ瞬きするたびに目の上を動き回ります。それだけで黒目には酸素が供給されますが、市場に出ているハードレンズはかなり高い数値で酸素を透過させる素材を使用して作られていますのでより安全性の面では優れていると言えます。一方ソフトレンズも開発が進み、水分を含む比率が高いレンズやシリコンのように素材自体の酸素透過性が優れているレンズがたくさんありますが、ソフトレンズの場合、ハードレンズとは異なり、黒目をすっぽり覆っています。その点でやはりハードレンズの方が長時間装用には歩があるのではないでしょうか。
ハードレンズのつけ外しって簡単にできるの?
コツを理解できてしまえば簡単に着脱はできます。慣れるまでは余裕を持って、レンズを落としても大丈夫な場所を選んで着脱の練習をしましょう。詳しい方法はこちらからどうぞ。
ハードコンタクトでスポーツはできないの?
ハードレンズの短所の一つに、ちょっとした視線の変化でズレたり外れたりするという点があります。しかしズレやすい、外れやすいということではありません。勿論その方の目の大きさや黒目の形状によって個人差はあります。ここでは避けておいた方がいいスポーツを紹介しておきます。
絶対にしない方がいいスポーツは?
★柔道 ★空手 ★ボクシング ★ラグビー ★サッカー ★相撲 ★レズリングなどの格闘技系要素の強いスポーツ。
目に衝撃や圧力が加わり、レンズが外れたり、場合によっては目の中でレンズが破損する恐れもありますので絶対に避けた方がいいスポーツです。
★水泳は水中メガネ等をかけても避けた方がいいでしょう。
ハードレンズのBCとPWRは関連しているの?
BCとPWRの説明はそれぞれの解説をご覧頂けたらと思います。
ハードコンタクトのBCとPWRの間には密接な関係があります。
例えば・・・・
右目BC7.80 / PWR-3.00 / S8.8
と言うレンズを今まで使用していたとします。 ところが右目のレンズを紛失した為、今まで利用していた眼科さんとは別の眼科さんで検査を受診し、コンタクトの処方を受けました。それが以下のデータであったとします。
右目 BC7.70 / PWR-3.50 / S8.8
目の悪い人は皆さん、そうだと思うのですが、やはりまず最初に目が行くのはPWRです。度数の部分ですね。そして度数の部分だけを見ると-3.00⇒-3.50と数値が大きくなっていますので、度数が進んでしまったと思ってしまいます。
しかしよく見てみるとBCも7.80⇒7.70に変わっています。このBCの変化によって度数に影響がでてくるのです。それがtear lens(涙のレンズ)なのです。
上の図をご覧ください。
BCは数値が小さい程、カーブがきつくて、数値が大きい程カーブがゆるやかです。
ハードコンタクトレンズは黒目の上に直接のっているわけではありません。黒目の上には涙の層があり、その涙の層の上に浮かんでいるのです。そしてスキー板と同じようにエッヂと呼ばれる部分を利用して、涙の上を滑らかに動いているのです。
例えば上の図のようにBCを1段階(BCの1段階は0.05幅です)きつくすると、そこには自然と涙のレンズが出来てしまうのです。BCを1段階きつくすることによって出来るtear lensは+0.25の凸レンズです。+0.25の凸レンズは度数を1段階弱くする効果があるのです。
つまりBCは1段階きつくするだけで、tear lensの影響を受けて自然と度数が1段階分弱くなってしまうのです。でもそうしたら見え方が悪くなってしまいますね。 ですからBCを1段階きつくした時には、度数を1段階強くしてあげないと、同じ見え方を得られないということになるのです。
一方こちらの図は、その逆です。
BCを1段階ゆるくすると、そこに自然と出来るのは-0.25の凹レンズです。-0.25の凹レンズは度数を1段階強くする効果がありますから、BCを1段階きつくしただけでは、その人の目にとって度数が1段階だけ強くなってしまいますから、今度は度数を1段階弱めにすることによって変更前と同じ見え方になるのです。
以上のことから例に挙げた
右目 BC7.80 / PWR-3.00 / S8.8
右目 BC7.70 / PWR-3.50 / S8.8
この2つは同じ見え方のレンズと言うことになるわけです。そうすれば、この二つの間の以下のデータも同じ見え方のレンズだとご理解いただけますね?
右目 BC7.75 / PWR-3.25 / S8.8
BCの選定については、大きな違いはないとしても処方する先生によっても若干違いがあります。そんな時に以前使用していたレンズのBCとPWRとを比較してみれば、度数の変化等もわかるのではないかと思います。