ソフトレンズのデーターでハードレンズは注文できるの?ハードレンズのデーターでソフトレンズは注文できるの?
ソフトレンズとハードレンズは素材や形状など、全く異なるタイプのレンズです。そのため同じBCと言う表記であっても互換性は全くありませんので、ソフトレンズのデーターでハードレンズを、またはその逆であってもご注文をすることはできませんのでくれぐれもご注意ください。ご希望のレンズのデーターがわからない時は眼科で検査を受診していただき、正しいデーターでコンタクトレンズをご注文ください。
今使っているコンタクトレンズのBCやPWRで他の種類のレンズを買っても大丈夫?
コンタクトレンズのメーカーやブランドによってレンズの素材や厚み、製造方法などが異なるため、見え方や装用感・乾燥感等、眼に与える影響が変わる場合があります。 いままでと違うコンタクトレンズをご使用される際にはまずはお近くの眼科さんで、実際にお客様の目にあったものかどうかを検査されてからご使用される事をお勧めいたします。
SPHとは? CYLとは? AXISとは?
SPH(球面レンズ)、CYL(円柱レンズ)、AXIS(軸度)を説明する前にまず始めに「正視」、「近視」、「遠視」、「乱視」を簡単に説明いたします。説明するにあたり、人間の黒目の形状を立体的にイメージしてください。人間の黒目は見た目は球状の形をしていますね。それを縦の球面(カーブ)と横の球面(カーブ)という捉え方をしていただくと分かりやすいと思います。
「正視」とは目のいい、正常な状態のことをいいます。下の図のように青い線も赤い線もカメラで言うとフィルムに相当する部分:網膜で像を結んでいます。これが正常な状態です。
「近視」は網膜よりも手前で像を結んでいます。ただ注目して頂きたいのは手前で像を結んでいるものの、青い線と赤い線は同じ所で像を結んでいるということです。
「遠視」は「近視」と逆で網膜よりも後ろで像を結んでいます。しかし近視と共通していることは青い線と赤い線は同じ所で像を結んでいるということです。
SPH(球面レンズ)とは?
SPH(スフェアー)は球面レンズと言う意味で、近視や遠視を矯正するときに使用するレンズです。近視を矯正する場合は凹レンズ(マイナスレンズ:(-)で表記します)、遠視を矯正する場合は凸レンズ(プラスレンズ:(+)で表記します。それぞれの単位はD:ディオプターです。つまり例えて言うとS-3.00Dとは度数が-3.00Dの近視を矯正するレンズと言う意味です。S+1.00Dは度数が+1.00Dの遠視を矯正するレンズと言う意味です。
上の図にあてはめて説明すると、例えば近視の人がS-3.00Dというレンズを目につけると、網膜の手前にあった像を結んで結んでいた位置が正視の人と同じように網膜の上にくると言う訳です。同じように遠視の人がS+1.00Dというレンズを目につけることにより、網膜の後ろで像を結んでいた位置が網膜の上にくると言う訳です。
「乱視」とはもうおわかりですね。「近視」や「遠視」と違うところは、青い線と赤い線の像を結ぶところが異なっているのです。そのズレ、それが「乱視」なんです。そのズレ幅が大きい程、「乱視」が強度ということになります。下の図は網膜よりも手前で像を結んでいますね。
そしてさらに青い線と赤い線の像を結ぶ位置が異なっています。つまり「近視」と「乱視」が合わさった目と言うことになります。また同じ乱視でも下の2つの図の違いがおわかりになりますか?青い線と赤い線を比較して頂くと分かるかと思います。
CYL(円柱レンズ)とは、AXIS(軸度)とは?
CYL(シリンダー)は円柱レンズと言う意味で、乱視を矯正するときに使用するレンズです。球面レンズは読んで字のごとく球面の形状をしており、どの方向にもおなじ度数が均等に入っているレンズです。一方円柱レンズはある一方向にだけ度数が入っており、その度数が入っている方向と垂直な方向には度数が入っていません。そしてその度数の入っていない方向のことをAXIS(軸度)と呼んでいるのです。また度数の入っている方向と軸度との関係は垂直に交わっています。
乱視を矯正すると言うことは、青い線と赤い線のズレをなくすということなのです。この人の乱視(ズレ)を矯正する時に使用するレンズがCYL(円柱レンズ)なんです。こういう理屈です。度数の入っている部分を青い線の所に合わせます。そうすると度数の入っていない部分は自然に赤い部分にきます。そうすると赤い線は動かずに、青い線が赤い線で結ばれた点の部分まで移動するのです。そうすることによって青い線と赤い線が同じ場所で像を結ぶことになるのです。例えばそれを表記するとこんな具合になります。
CYL-1.00D AXIS180°。そして青い線と赤い線が一つになった点を網膜の上に動かしてあげるわけです。その時に使用するレンズが最初にご紹介した球面レンズなのです。全部をまとめると、S-3.00D CYL-1.00D AXIS180という感じになります。乱視用のソフトコンタクトをお使いの人はこれと同じようなデーターを見たことがあるのではないでしょうか。
乱視の矯正にとって大切なのが、度数もさることながら「AXIS(軸度)」なんです。上の乱視の説明でも触れましたが、上の2つの図のように、似たような図にはなっていますが、青い線と赤い線の結ぶ位置が上の乱視と下の乱視では逆になっているのがおわかりでしょうか?つまり乱視と言うのは人によって矯正する「方向」があるんです。正しい「方向」にレンズの位置がないと上手く矯正できないのが乱視なんです。その方向を示すものが「AXIS」と言う訳です。
以上をまとめて簡単に言うとCYL(円柱レンズ)は正しい位置にレンズを置き、2つの線のズレを矯正するレンズであり、球面レンズは揃っている線をちょうどいい位置まで矯正するレンズということになります。
BC(ベースカーブ)とは?
BCと言うデーターはどのコンタクトレンズにも必ず記載されているデーターです。
BCとは少し難しい言葉で書くと「曲率半径」という意味です。コンタクトレンズの曲がり具合(カーブの度合)を数値化したもので、単位はミリメートルです。人間の角膜(黒目)は球面の形状をしていますね。だからできるだけその形状に合わせたレンズを目に入れるわけです。その形状が合わないと目の上でレンズが動き過ぎてズレる、外れてしまう、異物感強く感じる、良好な視力が得られない等々、不具合が生じることになります。
ソフトレンズの場合、BCは大体1種類か2種類で「8.6mm」とか「8.7mm」とか「9.0mm」というような記載になっています。これは半径8.6mmの円を描いた時と同じカーブであることを意味しています。ソフトレンズはとても柔らかい素材でできていますので、1~2種類でもほとんどの目をカバーすることができるわけです。例えば人気のシードワンデーファインUVのBCは8.7mmの1種類しかありません。同じく人気のJ&Jワンデーアキュビューモイストやトゥルーアイは「8.5mm」と「9.0mm」の2種類あります。もうひとつ人気のアイレネオサイトワンデーアクアモイストの場合は「8.6mm」と「8.9mm」の2種類あります。だからご注文の際にBCが1種類しかないレンズは選ぶことができませんからいいのですが、2種類あるレンズになると、BCの選択がないとレンズを購入することができないということになってしまいます。
一方、ハードレンズのBCは?というと「7.80mm」、「7.85mm」、「7.90mm」と言うように多くのレンズが0.05mm幅でかなり細かく再分化されています。これはレンズが硬いためにそれぞれの目に細かく合わさなくてはならないからです。ハードレンズにおいても意味合いは同じです。半径「7.80mm」の円を描いた時と同じカーブと言う意味です。ハードレンズにおいてもBCが合わないと黒目からズレて白目の方にいってしまったり、外れて紛失したり、というように様々な不具合が生じてきます。
ソフトレンズのデーターでハードレンズのお申し込みをされる方がいらっしゃいますが、既におわかりかと思います。ソフトレンズのBCとハードレンズのBCは根本的に異なりますから、代用はできません。ご注文の際にはくれぐれもご注意くださいね。
2種類以上のBCのある使い捨てコンタクトやハードレンズはBCの選択がないとご注文を承ることができません。コンタクトレンズの処方箋やパッケージ等を参考に、御入力漏れのないようご注意くださいね。
ハードレンズのBCはかなり細分化されていますが、それぞれメーカーごとに通常規格内のBCと特注規格のBCがあります。通常規格内であれば、メーカーさんが在庫を保有しているので、比較的入荷が早く、お届けまでにさほど御時間を要しませんが、特注規格になると、おおよそ1週間前後、長いメーカーさんでは2週間ほど入荷までにお時間を要することになります。万が一、レンズを紛失したり、破損してしまってもレンズがすぐにお手元に届かないことも考慮に入れて、スペアーレンズをご用意しておく、メガネとの併用を心掛けるなど、緊急時の備えも考えておくことが大切ですね。
PWRとは?
BCと同様にコンタクトレンズの処方箋や箱、ボトルに必ず記載されているのがPWR(パワー:度数)です。これはみなさんもよく耳にすること言葉だと思います。この度数は下記の図の「オプティカルゾーン」と言う部分に入っています。単位はD(ディオプター)です。ただこの単位自体は記載されていないこともあります。(例えば-3.00D⇒-3.00と言うように)
PWR(度数)には近視の目を矯正するマイナスレンズ(-3.00Dのように数値の前に必ず-の表記がついています:一般的には凹レンズと呼ばれています)と遠視を矯正するプラスレンズ(+3.00Dのように数値の前に必ず+の表記がついています:一般的には凸レンズと言われています)があります。ほとんどレンズが0.25D間隔で作られており、度数が入っていないレンズは±0.00Dということになります。
近視を矯正するマイナスレンズ(凹レンズ)の場合は-0.25D、-0.50D、-0.75D・・・・-4.00D、-4.25D・・・となるわけです。そして-6.00を超えると0.50間隔になるメーカーさんが多いのです。-6.00D、-6.50D、-7.00Dと言うように。遠視を矯正するプラスレンズ(凸レンズ)はその逆で+0.25D、+0.50D、+0.75D・・・・+3.00D、+3.25Dとなるわけです。
★時々、マイナスレンズ(凹レンズ)とプラスレンズ(凸レンズ)を間違えて御注文される方がいらっしゃいます。マイナスレンズは近視を、プラスレンズは遠視を矯正するレンズですから、間違えてしまうと全く見えないレンズが注文することになりますのでご注文の際には十分ご注意くださいね。
★PWR(度数)に関してもうひとつご注意いただきたいのが「0.75Dと7.50D」、「0.50Dと5.50D」をお間違いになられるケースです。数値が似ているために意外と多い間違いです。こちらも見え方に大いに問題が出てきますのでご入力の際にはご注意くださいね。
★メガネでよく使われる表現ですが「牛乳瓶の底みたいなレンズ」って耳にしたことはないでしょうか?近視を矯正するマイナスレンズ(凹レンズ)の特徴は真ん中が薄くて、周辺部が厚いこと。遠視を矯正するプラスレンズ(凸レンズ)の特徴は真ん中が厚くて、周辺部が薄いことです。それぞれ度が強くなるほどその傾向が顕著になってきます。でもそれはコンタクトレンズでも同じことが言えます。だから度の弱い人のレンズは薄くて取り扱いがしにくいし、度が強い人のレンズはレンズが厚くて扱いやすいということになります。度の弱い人が薄型のレンズを使うと、レンズに慣れるまでちょっと一苦労するかもしれませんね。
★例えば下記のレンズの場合、同じ-4.50と言う度数のレンズですが、「デイリーズアクア」は度数だけ記載されています。「ワンデーアキュビューモイスト」は度数の単位であるD(ディオプター)として-4.50と表記されています。「ワンデーファインUV」はPWR(パワー:度数)の頭文字のP、「メダリストワンデープラス」は頭文字ではなくそのままPWRと表記されています。でもすべて度数のことを表記しているのです。
DIAとは?
DIA(直径)もBC(ベースカーブ)やPWR(度数)と同様にコンタクトレンズの処方箋や箱、ボトルに記載されているデーターの一つです。
DIAは「ダイアメーター」のことで、コンタクトレンズの直径を意味しています。単位は「mm」です。角膜の大きさには個人差はあるものの日本人の成人の平均は一般的に縦11.5mm 横12.0mmと言われています。それに対してソフトレンズは角膜をすっぽり覆うようにデザインされています。日本アルコン社のデイリーズアクアやリングタイプのイルミネートのようにDIAが13.8mmなんて言うレンズもありますが、ソフトレンズの多くのDIAは14.0mmのレンズが多いようです。2週間タイプで人気のシード2ウィークファインUVやJ&JアキュビューオアシスのDIAは14.0mm、B&LメダリストⅡは14.2mmです。デカ目カラコンで人気のアイレエバーカラーワンデーなどは14.5mmと国内最大級の大きさです。但し、カラコンの場合、実際に着色されている部分はそれよりも小さくなります。 ただ一つのレンズで2つ以上のDIAを用意しているレンズは一部を除いてほとんどありませんので、実際にご注文の際に選択する必要はない場合がほとんどです。
一方、ハードレンズの場合は、レンズの性能上、角膜の上を動くようにデザインされています。そのため角膜よりも小さく作られています。多くのレンズのシードスーパーHiO2のように8.8mmが標準サイズと言うレンズが多いのですが、ニチコンうるるUVやニチコンRZXのように標準サイズが8.9mm、東レブレスオースーパーハードのように9.0mmが標準サイズと言うレンズもあります。ハードレンズの老舗メーカー出しているメニコンZなんていうレンズはBCに応じて標準サイズが異なる、というようなレンズもあります。いずれにしてもその標準のDIAと異なる場合は一般的に言う「特注レンズ」に該当し、通常の規格内レンズと比較するとお届けまでに日数を頂くことになるのです。
★ハードレンズのDIAは遠近両用ハードコンタクトの一部を除いては1種類のみと言うことはありませんので必ず選択漏れのないよう注意しましょう。
★ハードレンズのDIAは「S:サイズ」で表記されていることもあります。ご注意下さいね。
Tとは?
Tで表記されるこのデーターは「ティックネス」のことで、コンタクトレンズの中心の厚み(下記の図で言う中心厚)を表しています。単位は「mm」です。中心の厚みはレンズの種類やメーカー、度数等により異なりますが、コンタクトレンズを御注文する際には必要はありません。
コンタクトレンズを使用する上でしっかりと覚えておかなくてはならないことは、「コンタクトレンズを装用すると黒目は裸眼の時と比較すると酸素不足の状態になる」と言うことです。T(中心厚)はソフトレンズの含水率と同様にコンタクトレンズ装用中により多くの酸素が目に供給されるかどうかのカギの一つなのです。
それではレンズの厚みによってどのような事に変化がでてくるのでしょう。
★レンズが厚いことによるメリットとは?
1、レンズのハンドリング(取り扱いのしやすさ)に優れている。
2、レンズ自体の強度がしっかりしているので破損しにくい。⇒度の軽い方にはおすすめです。
3、乱視の矯正には適さないと言われるソフトレンズですが、薄いレンズと比較するとよりクリアーな視界を得ることができます。
4、レンズの形状保持性が優れているため装着時等、レンズが安定しやすい。
★レンズが厚いことによるデメリットとは?
1、酸素透過性が薄型と比較すると劣る。
2、異物感を感じやすい。
★レンズが薄いことによるメリットとは?
1、酸素透過性に優れている。
2、快適な装用感。
★レンズが薄いことによるデメリットとは?
1、レンズの強度と言う点で劣る。
2、厚みあのあるレンズと比較するとクリアな視界と言う点では劣る。(特に乱視のある方)
3、レンズが薄いために、特に軽度の度数の方にとってはレンズの取り扱いがしにくい。
まとめて言うと中心厚の厚いレンズはレンズの強度があり、取り扱いのしやすさと言う点では優れているものの、装用感や酸素の通りと言う点では薄いレンズには劣ります。薄いレンズはと言うと、その逆で装用感、酸素の通りは優れているものの、度の軽い方にとっては取扱いがしにくく、クリアな視界と言う点ではやや劣るということになります。つまり一長一短と言うことです。
例えば2WEEKで人気のボシュロム社「メダリストプラス」と「メダリストⅡ」を比較してみると・・・
メダリストプラスのT(中心厚)・・・0.035mm 含水率・・・35.8%
メダリストⅡのT(中心厚)・・・0.14mm 含水率・・・59%
2つのレンズのT(中心厚)を比較してもレンズの厚みは3倍以上異なります。中心厚と言う点ではメダリストプラスの方が数段酸素の通りがいいということになります。でも含水率(レンズ自体が含んでいる水分の割合はメダリストⅡの方が優れています。含水率は高ければ高いほど目に供給される酸素の量は多いということになります。同じメーカーの出している2WEEKタイプでも酸素の通りを良くするために異なる手法を使っているわけです。しかし度のとても軽い方が薄型を売りにしているメダリストプラスを選択すると、取り扱いに苦労をすることになります。最終的にはレンズとお使いになられる方との相性により、調子の良し悪しが決まってくるのではないでしょうか。
ADD(加入度数)とは?
ADD(加入度数)は通常タイプのコンタクトレンズの処方箋や箱、ボトルには表記されておらず、遠近両用タイプのコンタクトレンズにのみ表記されているデーターです。ADDは加入度数のことを表していますから単位はPWR(パワー:度数)と同じD(ディオプター)です。詳しくは「老眼について」をご参照くだだい。
視力と度数の関係とは?
時々、お電話での問い合わせなどで、「視力が0.1なのですが、その度数のコンタクトを購入したいのですが・・・」等と言う問合せを受けることがあります。0.1と言うのは勿論、視力検査の結果の数値なのですが、視力検査の数値と度数とは根本的にとらえ方の異なる数値なのです。
★視力とは?
視力と言っても「深視力」、「動態視力」視力など様々なとらえ方の視力がありますが、一般的には5m離れたところから、ランドルト環と呼ばれる環の切れ目がどの程度まで判断できるかを数値化して表わしたものです。
★度数とは?
一方、度数と言うのは近視や遠視、乱視等の屈折異常に対して、どの程度の屈折力のレンズを使えば、正常な状態にすることができるかを数値化したものです。
上記のように視力が0.1と判定されても、近視で0.1の人もいれば、遠視で0.1の人もいます。乱視で0.1の人もいれば、近視と乱視の両方で0.1と言う人もいます。
近視を矯正するレンズ、遠視を矯正するレンズ、乱視を矯正するレンズ、それぞれ異なるレンズを使用して矯正をします。ですから視力が0.1の人の目を矯正するレンズも人によって異なるのです。
0.1は視力を表す数値で、0.1の視力の目の人をどれだけの屈折力のレンズを使えば1.0や1.2等遠くのものがよく見えるようになるのかを、レンズの屈折力で数値化したものが度数なのです。