バイオフィルムとはなんですか?
一昔前まではコンタクトレンズケースと言えば、コンタクトレンズと同様、長期間使用するのが一般的でしたが、使い捨てコンタクトの普及に伴い、現在ではコンタクトレンズケースも、ケア用品を購入するたびに中に付属で添付されるようになっています。
つまりケア用品がなくなり、新しいケア用品を開封する時にケースも新しく交換するというスタイルになっているのです。
その背景には「バイオフィルム」の問題があるのです。
長期間、使い続けたレンズケースの内側には、眼に見えない細菌が膜を形成することがあるのです。これが「バイオフィルム」と呼ばれるもので、身近な例で例えると、台所のシンクなど掃除しないで放置しておくとヌルヌルしたヌメリが表面に付着してきますね。これもバイオフィルムの一種です。
せっかくコンタクトレンズをしっかりと洗浄し、消毒液に保存したとしてもその保存するケースが細菌に汚染されていたのでは意味はありません。
もし万が一、眼感染症の原因となる「ブドウ球菌」や「緑膿菌」が、バイオフィルムを作ってしまえば、慢性の炎症を繰り返すバイオフィルム感染症を起こしてしまうことがあります。そうなるとなかなか完治せず、非常に厄介なことになってしまうのです。
そうならぬよう、レンズケースは日々、水道水でキレイにすすぎ洗いをしてください。特にふたと本体のかみ合わせ部分は汚れが溜まりやすいので注意してください。またケア用品を交換する時に一緒に新しいケースに交換するよう心掛けましょう。これはハードコンタクトにも同じことが言えます。
コールド消毒とマルチパーパスソリューションの違いは?
一昔前は、ソフトコンタクトの消毒と言えば、「煮沸消毒」が一般的でした。加熱して消毒をしますので消毒効果は高かったのですが、レンズの変形や劣化、タンパク質の固着などその分レンズにもダメージを与えていました。また時間的にも手間のかかるケアでした。
それに対して現在は、こすり洗い不要のコールド消毒(コンセプトワンステップやクリアケア)と1本で洗浄・すすぎ・保存・消毒ができるマルチパーパスケア(オプティフリーやレニューフレッシュ等)が主流になりました。
前者は、こすり洗い不要なので、レンズを破損したりする心配もありませんしケアも簡単ですが、その分過酸化水素という強力な液体を使用しています。しかしその液体がそのまま目に入ると眼障害を引き起こしてしまうので、過酸化水素を目の中に入れても害のないものに中和する必要があるのです。
ところが中にはその中和を忘れてしまったり、中和時間が不十分なままで装用してしまい、眼障害を引き起こしているケースがあるわけです。また過酸化水素のケアにはメーカーの製品ごとに少しずつ使用方法に違いがありますので使用する場合は、ケア製品の使い方は正確に理解してから使うようにしましょう。
マルチパーパスソリューションは、1本で洗浄・すすぎ・保存・消毒までできるので、消毒効果は過酸化水素ほど強力なものではありません。その分、機械的な刺激をレンズに加えて(こすり洗い)洗浄しなくてはなりません。
ただ中にはこすり洗いをしなくても消毒ができると勘違いをする人もいるようです。こすり洗いを怠ると、その取り残された汚れがアレルゲンとなり、アレルギー結膜炎などの症状を引き起こす人もいますので、注意が必要です。
ご家族内で、コールド消毒によるケアを利用している人と、マルチパーパスソリューションを利用している人がいる場合は、お互いの貸し借りなどの際、注意が必要です。またマルチパーパスからコールド消毒にケアの方法を変更した場合なども注意が必要です。
ハードコンタクトのすすぎ忘れ
ハードコンタクトレンズも時々ではありますが、保存ケースから取り出し、水道水ですすがずにそのまま目に装用して眼障害を引き起こしているケースが見受けられます。
ハードコンタクトの保存液は平たく言ってしまえば「洗剤」のようなものです。よくお風呂で髪の毛を洗う時に目にシャンプーが入ってしまった時の事を思い出すとよく分けると思います。
特にハードコンタクトと、ソフトコンタクトを併用しているような人は、うっかりワンデー感覚でそのまま目に装用することないよう注意が必要です。
ハードコンタクトの強力洗浄液
ハードコンタクトの洗浄液の中には、通常の洗浄液では落とせない汚れも落とすことのできる微粒子入りの強力クリーナーがあります。例えばボシュロムのスーパークリーナーやホヤのピュアクリーナH、東レのマックスケア、シードO2クリンなどが該当します。
これらのクリーナには微粒子が入っているため、表面処理の施されたハードコンタクトレンズに使用するとコーティングが剥がれてくる恐れがあるため使用できません。ここでいう表面処理とはレンズの水濡れ性(親水性)高めるために施される処理の事を指しています。
万が一、微粒子入りのクリーナーを誤って表面処理の施されたレンズに使用し続けるとレンズが劣化し、そのことが原因で目に影響が出ないとも限りませんので、注意して下さいね。該当レンズはメニコン製ハードコンタクトレンズ全般、シードのS-1が該当します。