コンタクトレンズの装用過多(over wearing)
コンタクトレンズを使い過ぎた場合です。人間の黒目(角膜)は、私たちが口から酸素を取り入れ呼吸しているように大気中の酸素や涙の中に含まれている酸素を取り込んで呼吸をしています。
角膜にとって一番いい環境は目を開けた状態で、適度なまばたきが繰り返され、新鮮な涙でいつも角膜上が潤っている状態です。そういう点で考えれば、私たちが目をつぶって寝ている時は少なからず角膜にとってはベストな状態ではないということになります。
そのような角膜上にいくら性能が優れているとは言え、コンタクトレンズと言う異物をのせているのです。角膜は嫌がうえでも酸素不足の状態に陥ります。
だからこそ1日の装用時間が限られている訳ですね。でも実態はと言えば・・・・。
多忙を極める現代人は朝起きてから夜寝る直前までコンタクトレンズを装用し、はずしたらそのまま目を閉じて寝てしまう、と言うような人が多いのではないでしょうか?人によってはお酒を飲んで、そのまま酔っ払ってコンタクトレンズを付けたまま寝てしまうなんて言うこともあるのではないでしょうか?
人間は酸素がなくなると死んでしまいます。例えば指に絆創膏等を長時間付けておくとどうなりますか?
はがした後は白くふやけてしまいます。でも角膜も同じなのです。酸素不足の状態が長時間続けば、角膜の表面は浮腫(むくんだ状態)を引き起こします。そして透明な角膜の組織は白っぽく濁り、傷がつきやすい状態になります。
このような症状がある時にコンタクトレンズを装用すると、「目にしみる」という症状を訴える人が多いわけです。
他にもコンタクトレンズを長時間装用した後にレンズをはずした後、「うっすら白っぽく見える」、「普段掛けているメガネを掛けても見えにくい」、「照明を見ると輪のようなものが見える」、「目に風に当たると滲みる」、等の症状も浮腫が起きてる時によくある症状です。
こういう状態が長年続くと、角膜の内皮細胞にも影響を及ぼしてきます。
そうならない為にも、コンタクトレンズは12時間以内の装用を心掛け、レンズをはずした後は少しの間、メガネの時間をつくり、目にたくさんの酸素を与えてあげてからおやすみになれればいいですね。
使い捨てコンタクトを装用すると目にしみる
使い捨てコンタクトの場合、ブリスターパックにレンズが清潔な状態で、かつ密閉された状態で入っています。ソフトコンタクトの保存液と言えば、人間の涙と同じ濃度に調合されたものが使用されていますので、通常はレンズを装用しても目にしみると言うことがないわけです。
ただ涙液の濃度にも個人差がありますので、ソフトコンタクトの保存液と微妙に相性が合わないと言う人がいるのも事実です。
もしいつも新品のレンズを装用しているにも関わらず、目にしみてツラいと言うような人は、一度レンズを専用の保存液ですすいでから装用することをおススメ致します。
酸素透過性ハードコンタクトを装用すると目にしみる
ハードコンタクトの保存液はソフトコンタクトとは異なり、涙とは根本的に異なる界面活性剤やタンパク分解酵素などの成分を使用している製品が多いので、レンズに付いている保存液を水でよくすすがずにレンズを装用すると、激しい痛みと共に目はたちまち充血し、傷が出来てしまいます。目にシャンプーやせっけんが入った時の痛みは誰もが経験していることと思います。
従ってよくありがちなのが「すすぎの不十分」です。
また諸事情で、ハードコンタクトの装用を長期間中止し、その間保存液にずっと浸けっぱなしにしていた場合、保存液の成分が微妙にレンズに浸み込んでしまうことがあります。
もしそうなっていたとしたなら通常通り水で洗い流す程度では抜けきらない為、それを装用すると装用した瞬間ではなく、少し遅れてジワジワと目が滲みて、涙が出て来たりするのです。もしそのような場合は無理して装用していると目にキズができてしまいますので、一旦はずし、1日~2日は保存液ではなく、水道水に保存しておくと多くの場合、浸み込んでいた保存液は抜けると思います。そう言うケースと言うのは特に数年たった、キズや汚れの多いレンズにそのような傾向があるようです。
いずれの場合でも、正常な状態であればコンタクトレンズを装用した時に「目がしみる」ということはありませんので、何かしら異常があると考え、くれぐれも無理に装用をしないように注意しましょう。
コンタクトを装用したら、あるいは装用中に異物感を感じる場合は?
洗浄し、よくすすいでから装用して改善されるのであれば問題はありません。特にまだコンタクトレンズの経験が浅く、着脱に少々お時間を要する人であれば、レンズを装用するまでの間にレンズに汚れやゴミが付着することは十分考えられます。
また頻繁にあることではありませんが、新品の未開封レンズとはいえ、時には初期不良のレンズがあるのも事実です。もし装用直後から違和感などを感じるようであれば、無理に装用せずにお問い合わせください。
ワンデー以外のレンズはケアをしなくてはなりませんので、ケアの際に無意識の内にレンズを破損させていたり、ケースにしまう際にふたで破損させてしまっていると言うこともあります。かなり小さな傷であれば、肉眼でも見落としてしまう程なので、洗浄しても異物感が改善されない場合は、レンズを交換しましょう。交換して改善されるのであれば原因はレンズということになります。ここで無理して、我慢してレンズを装用していると眼にキズが付いてしまい、装用を中止なんて言うことにもなりかねません。決して無理な装用はしないように気をつけましょう。
眼にキズができてしまったり病気になってしまった時は?
これが一番の問題です。レンズに異常がなく、且つケアもしっかりとしている上で何度装用しても異物感が消えないと言うことであれば、眼にキズが付いていたり、何らかの眼病に罹っている可能性があります。無理な装用は避けて、早いうちに眼科を受診することをお薦めします。特にソフトコンタクトの場合、装用感が楽と言う大きなメリットがある半面、少々のキズ等は気づきにくいと言う大きなデメリットもあります。放置しておくと痛みなどを感じるころにはかなり症状が悪化して、完治するまでにそれまでの日数を要するなんていうことにもなりかねませんので、くれぐれも注意が必要です。
見え方が悪くなってしまったのですが?
★レンズの汚れや寿命
長期装用タイプのコンタクトレンズは寿命がありますし(O2レンズはおおよそ1.5~2年、ソフトコンタクトは1~1.5年)、使い捨てコンタクトであればレンズの交換時期とあります。それぞれの寿命や交換時期が近くなってくると、新しいレンズに交換した時とは異なり、不快感を感じる頻度が増えてきます。レンズはしっかりとケアをしていても汚れはすこしずつ蓄積されていきます。汚れが蓄積されてくるとレンズは乾燥しやすくなり、それは見え方にも影響を及ぼします。このことが原因で見え方が低下しているのであれば、レンズを交換することにより改善されるはずです。
※レンズの寿命や交換時期には個人差があり、すべての人がMAXまで調子よく使用できるとは限りません。
★度数が進んでしまった
度数が進めば見え方は悪くなりますが、問題は見えなくなったのは何が原因なのかをハッキリさせなくてはならないということです。度が進んだと一言で言っても「近視の度数が進んだ場合」もあれば「遠視の度数が進んだ場合」もありますし、「今までなかった乱視が入ってきたために見え方が悪くなっている場合」もあるのです。つまり悪くなっている原因を特定し、的を得た度数の調整をしなければ見え方は改善しないということです。例えば乱視が原因で見えなくなってきているのにも関わらず、乱視を矯正できないソフトコンタクトの度数を見え方が良くないからと言って度数ばかりを上げてしまうとか・・・。それでは見え方は改善されません。
★眼にキズ、装用過多、眼病
眼にキズが、それも光を透過させる角膜の中央部にキズや炎症があれば見え方は悪くなります。またレンズの使い過ぎや装用したままで睡眠をとってしまった場合等に起こる角膜浮腫や眼底疾患などがあればやはり見え方は悪くなります。しかしこれらのことが原因で見え方が悪くなっているとしたなら、早急に眼科を受診し、処置をしなければ最悪のケースに繋がることもあるということを念頭に入れておかなくてはなりませんね。
★注文間違いや左右の入れ間違い
そもそも注文した時点でデータに誤りがあり、それを確認せずに使用してしまうケース、例えば「-7.50Dと-0.75D」を、「-5.50Dと-0.50D」を、「-2.00Dと+2.00D」、「乱視用レンズの軸度AX180とAX90」などは、誤って注文し、装用すれば見え方は本来の見え方と全く変わってしまいます。現にこのような間違いが発生していますので、注意が必要です。また左右を入れ間違えば、やはりいつもと見え方は変わってきます。
★初期不良
いつも使用しているレンズと同じレンズを購入したにもかかわらず、そのレンズを使用すると「見え方が悪い」という訴えが時々ではありますが耳にします。視力も進んでおらず、眼に傷や病気がなければ残る原因はレンズということになります。使い捨てコンタクトは大量生産されています新品の、未開封のレンズの中にも初期不良レンズがないとは限りません。もしそのようなレンズがあった場合、レンズ、及びブリスターパック、商品箱など廃棄せず保管頂き、当社まで連絡を頂きますようお願い致します。当社よりメーカーに報告し、不良レンズは交換させていただきます。