乱視について
屈折異常とは?
メガネやコンタクトレンズを使用している人の多くは屈折異常です。
屈折異常とは「近視」、「遠視」、「乱視」のことを言います。それぞれ「近視」、「遠視」、「乱視」単独の人もいますし、「近視と乱視」、「遠視と乱視」が混ざった人もたくさんいます。
では「近視」、「遠視」、「乱視」とはどのような状態のことを言うのでしょう?
私たちの目は、外から入ってきた光が角膜(黒目)や水晶体で屈折され、目の一番奥にある網膜(カメラで言うフィルム部分)に像を結ぶことによって物や景色を認識しています。正視、つまり目のいい人は正しく光が屈折され、正しい位置で像を結んでいるのでよく見えるのです。
それに対して近視の人は、光を曲げる力(屈折力)が強すぎて、網膜よりも手前で像を結び、遠視の人はそれとは逆に光を曲げる力が弱すぎて、網膜よりも後ろで像を結んでしまうのです。そのため肝心な網膜上ではしっかりとした状態で像が結ばれていない為、見たいものが程度の差こそあれ、ぼやけて見えてしまう訳です。
ここで注目して頂きたいのは、近視や遠視は、像を結ぶ位置が網膜の手前か後ろかと言うだけの違いで、ピント自体は合っているということなのです。
乱視とはどのような症状を言うのですか?
人間の黒目は平面ではありません。従って目に入ってくる光は縦方向、横方向、斜め方向、あらゆる方向から入ってきます。近視や遠視は、そのあらゆる方向から入ってきた光が一点に集まるのです。ただその集まる場所が、網膜の手前か後ろかと言うことなのです。
ところが乱視と言うのはその縦横斜めから入ってくる光が、近視や遠視とは異なり1点に集まらないのです。つまり像を結ばないわけです。例えば縦方向からの光と横方向からの光が焦点を結ばないのですから、見え方がダブって見えたりするのです。
何故、このような事が起こるのかと言うと人間の角膜や水晶体が歪んでいるからなのです。
わかりやすくボールに例えて見ましょう。
「人間の黒目はどんな形?」と問われたら、多くの人が「丸」と答えると思います。では立体的に言えば?「球」と言うことになります。
「球」とはボールに例えれば「サッカーボール」や「バレーボール」が該当します。これらのボールを真下に落としたら真上に跳ね返ってきます。そしてそれはボールを持ちかえて行っても同じです。その理由は、縦横斜め、どの球面をとっても同じ「曲がり具合:カーブ」だからです。だから向きを変えても同じ跳ね返り方をする言わけです。
ではもし人間の黒目が「ラグビーボール」のように縦と横でカーブが異なっていたとしたら。落とす向きに世って跳ね返り方は全く異なります。
これと同じ事が目にも言える訳です。
角膜や水晶体はカメラで言うとレンズに相当します。
従って角膜や水晶体の縦と横のカーブが異なれば、目に入ってきた光の曲がり方が異なるのは想像がつくと思います。曲がり方が異なれば像を結ぶ位置も自ずと変わってきます。
これが乱視なのです。つまり、乱視の原因は、角膜や水晶体の歪みなのです。乱視の強い人程その歪み方が強いのです。角膜の歪みが原因の乱視を「角膜乱視」、水晶体の歪みが原因の乱視を「水晶体乱視」といいます。一般的な乱視は角膜乱視がほとんどです。
乱視を見分ける方法は?
眼科さんやメガネ屋さんでこのような表をみたことはないでしょうか?
この表は乱視の検査の時に使用する「乱視表」です。
この放射線は、長さ、濃さ、太さいずれも全て同じ線で描かれたものです。屈折異常のない正視の人がこの乱視表を見れば、キレイな放射線に見えるのです。
近視や遠視の人が見た場合、ボヤけては見えるのですが、放射線自体に濃淡などのムラはありません。
しかし乱視の有る人がこの表を見ると、例えば時計の線で言うと「6時と12時」の線が他の線と比較すると濃く、はっきりと見えたりするのです。そしてそれは人によって「3時と9時」であったり、「4時と10時」であったりするわけです。
つまり乱視の人は縦のカーブと横のカーブで像を結ぶところが異なるため、このように均一の線を見た時に濃淡が出てくるのです。
乱視の矯正にはハードコンタクトの方が向いているのはなぜですか?
乱視の原因は、カメラに例えるとレンズに相当する「角膜」や「水晶体」の歪みです。ですからその歪みを解消してあげれば乱視が矯正できるということになります。
例えば、凸凹道を歩きやすくする為に固い板とビニールのシートを渡されたらどちらを敷きますか?
答えは明白ですね。固い板です。凸凹しているところに、上から固い板をのせることにより、表面が平らになりますから歩きやすくなる訳です。
これがハードレンズとソフトレンズの乱視の矯正力の違いなのです。
乱視の有る人にハードコンタクトをおススメする理由はここにあります。歪んでいる黒目の上に固くて丸いハードコンタクトを乗せることにより角膜の表面は均一な球面になります。均一な球面になればそこを通る光は同じだけ曲げられますから、焦点が合うということになります。ただ目の上に乗せるだけで乱視を矯正してしまうのがハードコンタクトなのです。
一方、ソフトコンタクトの方は柔らかい素材で出来ていますから、いくら歪んだ黒目の上に乗せても、歪みは解消されません。従って乱視の矯正はできません。
ところがここで問題が一つ出てきます。乱視にはハードコンタクトが向いているのですが、ハードコンタクトには「異物感がある」という短所があります。中にはその「異物感」にどうしても慣れない方がいるのです。
乱視があるのに、ハードコンタクトが使用できない。そんな人たちの為に出来たのが「乱視用コンタクト」なのです。