コンタクトレンズのCYLとAXISとは?
CYLとは
CYLはシリンダー(cylinder)の略称で円柱レンズと呼ばれています。SPH(球面レンズ)とは異なる役割を持つレンズで、乱視を矯正するレンズです。つまりPWR(度数)の中には近視や遠視を矯正するSPH(球面レンズ)と乱視を矯正するCYL(円柱レンズ)とがあるわけです。
球面レンズは読んで字のごとく球面の形状をしており、どの方向にもおなじ度数が均等に入っているレンズです。
それに対して円柱レンズは、ある一方向にだけ度数が入っており、その度数が入っている方向と垂直な方向には度数が入っていません。
AXISとは
AXISは乱視軸度のことで、AXと表記されることもありますが単独で表記されることはありません。
度数の入っていない方向のことをAXIS(乱視軸度)と呼んでいるのです。度数の入っている方向と軸度との関係は必ず垂直に交わっています。
円柱レンズはAXISにより位置を固定して矯正するレンズなので、球面レンズと異なり、レンズが回転すると矯正するべき方向がズレてしまい、良好な視力を得ることができなくなります。
乱視の矯正
まず比較しやすいように近視の人の目がこちらです。
そして乱視の人の目がこちらです。あくまでも一例になりますがこのような感じになります。
比較するとお分かりのように近視は青の縦の線と赤の横の線が同じ位置に集まっています。つまり焦点を結んでいるということです。ただその位置が0の位置である網膜よりも前方であるということです。
それに対して乱視は青の縦の線と赤の横の線が別々の位置に集まっています。つまり焦点を結んでいないのです。この青の縦の線と赤の横の線のズレが「乱視」です。このズレが大きければ大きいほど「乱視が強い」ことになります。
乱視を矯正すると言うことは、青い線と赤い線のズレをなくすということなのです。
では、具体的に矯正をしていきます。
B点をA点に揃える
青の縦の線と赤の横の線のズレが「乱視」なのですから、B点をA点に揃えた時点で乱視が矯正されたということです。
B点をA点に揃えるときに使用するレンズは?・・・
ここで使用するのがCYL=円柱レンズなのです。
こういう理屈です。
仮にここでSPH(球面レンズ)、仮にSPH-1.00Dを使用した場合、どうなるかと言うと・・・
SPHは球面レンズのコラム記事で紹介した通り、円柱レンズとは異なり、全体に均等に度数が入っています。
そのためSPH-1.00Dを使用すると、B点をA点に揃えたいのに一緒に動いてしまいます。(B点は-1の部分に、A点は0の部分に動いてしまいますので、ズレが矯正できません。
なのでSPH(球面レンズ)は×です。
円柱レンズの場合は上述した通り、ある一方向にだけ度数が入っており、その度数が入っている方向と垂直な方向には度数が入っていません。そしてその度数の入っていない方向が乱視軸度です。
動かしたいのは赤い線のB点(90°方向)なので、度数の入っていない180°を乱視軸度に設定します。動かしたいのは-1.00分です。
従ってCYL-1.00D/AXIS180°というレンズを使用することによってB点はA点の位置に動くわけです。
この時点で乱視は矯正されているので、一番上の近視と同じ状態になりました。
A点もB点も同じ位置にあり、二つも網膜よりも-1.00分前方に焦点があるので、あとは全体に度数の入っているSPH-1.00Dを使用すればA点、B点共に網膜上に来るわけです。
整理して記載すると、図の乱視の目を矯正するレンズは・・・
SPH-1.00D/CYL-1.00/AXIS180°
となります。