ソフトコンタクトのメリット・デメリット
ソフトコンタクトはどんなレンズ?
ソフトコンタクトは直径14.0mm程度の水分を含んだやわらかい素材を使用した黒目より大きなレンズです。ソフトコンタクトは水分を含んでいることから素材自体が酸素の透過させる能力を持っています。そのためハードレンズのように黒目より小さくせず、動きも少ないため装用感という点でとても優れたレンズです。
1980年代後半にはアメリカで使い捨てコンタクトが認可され、日本でも1991年に認可されました。当時はモノを大切にする日本人の気質に使い捨てコンタクトは馴染まないのでは?との声も多数ありましたが、現在は3割のハードコンタクトユーザー対し7割のソフトコンタクトユーザー、そしてその7割の内6割が使い捨てコンタクトのユーザーと言われています。
ソフトコンタクトのメリット
●装用感が非常にいい。
●激しい運動をしてもズレたり外れたりしにくい。
●ゴミが入ってもハードコンタクトのような激痛はない(裏を返せば放置されやすく、重篤な障害になることもある)
●使い捨てコンタクトにおいては、スペアーレンズが常に手元にあり、安心。汚れが蓄積される前に交換するため、安全性が高い。
ソフトコンタクトのデメリット
●乱視が矯正できない
●ハードコンタクトと比較するとケアが面倒(水道水は使用できない)
●ハードコンタクトと比較すると維持費がかかる
●寿命が短い(通常タイプのソフトレンズで1年~1年半)
ソフトコンタクトでも慣れない人はいる
ソフトコンタクトは黒目より大きく、ハードコンタクトのようにあまり動きません。ソフトレンズのフィッティング(目に入っている状態のことを言います)は、黒目をしっかりと同心円状に覆っていて、且つ瞬きした時に1~2mmくらい目の上で動くこと、上下左右に目を動かしてもレンズが黒目にしっかりとついてくる状態がいいと言われています。
このような状態であれば異物感はとても少なく、人によっては「つけている感じが全くしない」なんて表現をするほど快適なレンズです。でも神経質な方でそれさえも気になってしまうと言う方もいます。そうなると残念がら「不向き」と言わざるを得ないかもしれませんね。
ソフトコンタクトって乱視は矯正できないの?
乱視とは一言で言うと「黒目の歪み」とよく言われます。人間の黒目はまん丸く見えていますが実は縦と横の曲がり具合(カーブ)が異なる非球面の形状をしています。つまり人間の目はだれでも少なからず歪んでいるということになります。ところが乱視の強い方の場合その歪み方が強い訳です。
逆に考えると歪んでいる黒目をまん丸い状態にしてあげれば「乱視が矯正できる」と言う訳です。例えばでこぼこ道を歩きやすくするために、板とビニールシートが置かれていたらどちらを利用しますか?ビニールシートを選ぶ方はいないと思います。
なぜならビニールシートをでこぼこ道に敷いたところでその形がそのまま残ってしまいますね?ソフトコンタクトに乱視の矯正力がないというのはそういう理由から何です。でも硬い板なら上から置くだけできれいな平らな形になりますね。
それがハードコンタクトとソフトコンタクトの違いなんです。とは言っても「乱視はあるけど、ハードコンタクトがちょっと」、と言う方もたくさんいます。そういう方にお薦めなのが「乱視矯正用ソフトコンタクトです」。
スポーツをするにはソフトコンタクトの方がおススメ
ソフトコンタクトは柔らかく、黒目をしっかりと覆っていて、動きの少ないレンズですからスポーツをするにはソフトコンタクトがいいですね。又ハードレンズでは絶対に避けた方がいい格闘技系の要素を含んだ激しいスポーツでも対応は可能です。目に何かぶつかった場合でも、柔らかい素材で黒目を覆っているため、黒目を保護してくれる役割も果たします。
でも過信は禁物です。乾燥状態が続いたり、目をこすられるような場面に出くわしたら外れたりすることももちろんありますので注意が必要です。但し水泳は論外(ダメ)と考えてくださいね。
ソフトコンタクトは装用感が楽だから目にキズがついてもわからない?
ソフトコンタクトでよく注意されることは、装用感がいい故に目のキズや病気を見逃してしまいやすいと言うことです。コンタクトレンズを装用されている方の多くは「仕事柄」とか、「メガネが嫌い」、「メガネが邪魔」なんて言う理由で多いものですが、だからこそ皆さん、多少不調を感じても無理してコンタクトレンズを使用しているというケースが結構あります。
ハードコンタクトは硬いレンズですから、キズができたりしたら、装用している方が辛いですから自らレンズを外す場合が多く、結果として重篤な症状までには至りません。しかしながら装用感の楽なソフトコンタクトは?というとご自身で気をつけないと無理が出来てしまいます。結果として目が痛むなどの不調で我慢が出来なくなった時には予想以上に重篤な症状に陥っているというケースがよくあります。常にメガネとの併用を心掛けないといけませんね。
ソフトコンタクトは装用感が楽だからと言っても長時間装用は要注意!
人間の黒目も呼吸しています。目の上に何もつけていない人は大気中の酸素、涙の中に含まれている酸素を何の障害もなく取り込むことができます。しかしコンタクトレンズをつけていると、少なからずそういう訳にはいきませんね。今、各メーカーさんから出ているソフトコンタクトはとても性能がよく、酸素の透過性も高くなっています。とは言っても黒目をすっぽりと覆っています。私たちがマスクをしたら呼吸がしにくくなりますね。
それと同じことが黒目にも言える訳です。長時間、酸素が供給されないと人間の体はおかしくなってしまいます。例えば指にバンドエイドを長く巻いていたら皮膚がふやけてしまうように。装用感が楽なソフトコンタクトだからこそ、早め早めにはずしてメガネとの併用をお薦めいたします。
ソフトコンタクトの含水率について
含水率について
ソフトコンタクトはハードコンタクトが疎水性のレンズ(水をはじくレンズ)と言われるのに対し、含水性(水分を含んだレンズ)と言われています。含水率とはその水分を含む割合のことを示しており単位は%です。
人間の黒目は常に呼吸をしています。つまり酸素を必要としています。従って酸素を通さないコンタクトレンズを装用するととても危険な事な状態に陥ってしまいます。ハードコンタクトは黒目より小さくし、瞬きと同時にレンズが動くことにより、また素材自体も酸素を通す素材を活用することによりその問題を解決しています。
ソフトコンタクトの場合、角膜への酸素供給は、主にレンズに含まれる水分を通して行われています。つまり水分の中に含まれている酸素を利用しているということになります。だから一般的に含水率の高い素材ほど多くの酸素を通すということになる訳です。この酸素の通しやすさを酸素透過性と言っている訳です。
現在、市場に出ているソフトコンタクトは低含水率レンズと高含水率レンズいう括りで分類されています。おおよその基準は50%以上か以下かと言われています。
低含水率レンズと高含水率レンズの特徴
低含水率レンズ
水分の含む割合が50%以下のレンズということですから、高含水率レンズと比較すると酸素透過性は劣ります。また水分を多く含んでいる高含水率レンズより、装用したときの「馴染みやすさ」と言う点でも劣ります。
逆に水分を含む割合が少ないということは、涙液中に含んでいる汚れ成分の吸収も少ないため、高含水率レンズと比較すると汚れがつきにくいというメリットがあります。また高含水率レンズと言うのはレンズ自体が多くの水分を含んでいることにより性能を発揮するため、その水分量を維持しようとしてより多くの涙を吸収してしまいます。そのため眼の中にある涙を必要以上に吸収してしまうため、乾燥しやすいというデメリットを持ち合わせています。その点では低含水率レンズの方が乾燥しにくいというメリットがあります。
ではコンタクトレンズを選択する場合、どちらを選択したらいいのでしょうか?
●涙の量が少ないという方
●コンタクト装用中、自覚的に乾燥感を頻繁に感じると言う方
●細かい作業や近見作業の多い方
●職場環境など、乾燥しやすい状況下でお仕事に従事されている方
●長時間装用される方
以上の方には乾燥しにくい「低含水率ソフトコンタクト」をお薦め致します。
高含水率レンズ
水分の含む割合が50%以上のレンズを高含水率レンズと言います。水分を含む割合が高いわけですから、その分酸素の供給量が優れているということになります。やわらかさという点でも低含水率レンズより優れています。従って、下記のような方には高含水率レンズをお薦め致します。
●コンタクトレンズが未経験の方
●長時間装用しないという方
●涙の量の多い方
しかし実際に角膜に供給される酸素の量は、レンズの含水率ばかりでなく、レンズの厚さやデザインによっても変わってきます。
例えば同じ素材で比較した場合、レンズの厚さが半分になれば酸素透過性は2倍になるとされています。またレンズに付着した汚れは酸素透過性を低下させるとされており、そのレンズへの汚れの付きやすさは、素材や含水率によっても異なってきます。このように含水率だけで一概にレンズの性能や良し悪しを判断することはできません。
含水率が高い、レンズが薄い、酸素透過性が高い等、レンズの性能は様々な面から推し量ることはできますが、だからと言ってそれらのレンズが「いいレンズ」と言う訳ではありません。個人個人の目のタイプ、涙の量、レンズのフィッティング、使用方法、レンズとの相性、コスト面など様々な角度から判断してその方にとっての「いいレンズ」は決まってきます。