コンタクトレンズのBC(ベースカーブ)とは?
BC(ベースカーブ)とは?
BCと言うデータはどのコンタクトレンズにも必ず記載されているデータです。
人間の黒目(角膜)は外見からもわかるようゆるやかなカーブを伴った丸い形状をしています。だからその上に乗せるコンタクトレンズの内面もできるだけその形状に合わせた丸い形状のレンズを目に装用することが望ましいわけです。
その形状が合わないと目の上でレンズが動き過ぎて「ズレる」、「外れてしまう」、「異物感強く感じる」、「良好な視力が得られない」等々不具合が生じることになります。
BCを日本語で言い換えると耳慣れない言葉ですけど「曲率半径」という言葉になります。人間の黒目の曲がり具合(カーブの度合)を数値化したもので、単位はミリメートルです。
具体的な数値を用いて説明すると、例えばハードコンタクトであれば、「BC7.80mm」「BC7.90mm」等と表現されるわけですが、これは半径7.80mmの円を描いた時にできる円の一部のカーブ(曲り具合)を表現しています。
半径7.80mmの円の一部と半径8.00mmの円を描いた時の一部を考えた場合、どちらのカーブが緩やかであるかおわかりになりますか?
正解は半径8.00mmの方です。
円が大きければ大きいほど、円の一部を切り取った場合、曲りは緩やか=平らに近いということなります。野球のボールやバレーボール、バスケットボール等大きさの異なるボールの一部を切り取った曲り具合を比較するとイメージしやすいと思います。
なのでBCの数値が小さければ曲りがきつく、大きければ大きいほど黒目の曲り具合が緩やか=大きいということになるのです。
日本人の角膜曲率半径の平均は、7.50~8.23mmと言われています。
余談ですが、下の表を見ても分かる通り1945年と2020年を比較すると30代の男女共に10cm程度身長が伸びているそうです。身体が大きくなれば、それを構成する身体の部位一つ一つも自ずと大きくなりますので、そのことはBCでもきっと例外ではないのでしょうね。
ひと昔前と比較するとBCの大きさは間違いなく大きくなっているように思います。
それではハードコンタクトとソフトコンタクトのBCについて見ていきます。
ハードコンタクトのBCについて
ハードコンタクトはソフトコンタクトとは異なり、プラスチックのような硬い素材でできています。
そのためハードコンタクトのBCはかなり細分化されています。BCの間隔は1段階0.05mmになっていますので、どこのメーカーのハードコンタクトでも下記のような数値が一般的です。
例)7.60mm/7.65mm/7.70mm/7.75mm・・・8.00mm/8.05mm/8.10mm/8.15mm・・・・
このような感じです。いわゆる規格内BCだけでもざっと20種類以上はあります。
レンズの種類によって、0.05mm間隔ではなく0.1mm間隔でBCを用意しているメーカーもあります。そのようなメーカーのレンズには、中間のBC(7.65mmや7.75mm)は規格として用意していません。
ソフトコンタクトのBCについて
ソフトコンタクトはハードコンタクトとは異なり、大きくて柔らかな、含水性(水分を含む性質)の素材を採用しています。
柔らかな素材というのは硬い素材とは異なり、許容範囲が広いため、黒目の形状に合わせてかなりの大きさまで1つのBCでフォローすることができます。
この点はハードコンタクトのBCとは根本的に考え方が異なります。
ソフトコンタクトはそのような性質の素材なので、BCは概ね1種類ないし2種類のメーカーが殆どです。逆の言い方をすれば、わずか1種類ないし2種類のBCでほとんどの人の目をフォローできるということなのです。
ソフトコンタクトのBCとハードコンタクトのBCに互換性はない
「互換性とは、ある製品やデータを別のものに置き換えても問題なく使える」という意味なのですが・・・
時々、ハードコンタクトのデータにしては「少しおかしい」と思われるようなデータで注文をしてくる人がいます。
よくよく話を聞いてみると、使い捨てコンタクトの箱に記載されているBCをそのままハードコンタクトのBCに当てはめて注文したというのです。
先程、説明した通りハードコンタクトとソフトコンタクトは素材特性の全く異なるコンタクトレンズであり、レンズで覆う部分も異なりますので、そのままのデータで注文すると全く使用できないということになり、お金を無駄に使ってしまうことになりますので、くれぐれもご注意ください。