コンタクトレンズの終日装用と連続装用とは?
コンタクトレンズはとても便利なものですが、何時間でも好きな時に、好きなだけ装用できるわけではありません。
人の目=角膜は常に呼吸をしています。その角膜の上に異物が乗るわけですから、少なからず酸素の行渡りにくい状態になります。
そのため、いきなりその様な状態が長く続けば角膜が驚いて様々な障害をひき起こしてしまいます。
装用スケジュール
装用スケジュールは、角膜上に異物をのせることにより酸素の供給がされにくい状態になるため、それに徐々に目を慣らしていくためのスケジュールです。あくまでも目安として考えていただけたらと思います。
コンタクトレンズ初日は4~6時間程度に抑え、概ね2時間程度の幅で装用時間を増やしていき、最終的に終日装用のレベルまで時間を延ばしていきます。
終日装用とは?
起きているときだけ装用するという装用方法(寝るときにはレンズをはずす)で、ほとんどの人が終日装用でコンタクトレンズを使用しているのが実情です。ただ 「終日」といっても24時間起きているなら24時間装用してもいいという解釈ではありません。成人の望ましい睡眠時間は、一般的に6~8時間程度と言われていますから、逆算すると終日装用できる時間は長くても概ね16時間~18時間を目安としたらいいのかもしれません。
連続装用とは?
連続装用は、終日装用とは異なり就寝時にもコンタクトレンズを装用したままで過ごすという装用方法です。ただ連続装用と言う装用方法は医師の許可、管理の下で、使用できるレンズ、装用する期間などが決めらて初めて成立する装用方法です。自身の判断で連続装用することは認められていません。
連続装用できるコンタクトレンズ
医師の許可、管理の下でならどのコンタクトレンズでも連続装用が出来るというわけではありません。
連続装用できるレンズは、コンタクトレンズに関することを所管する厚生労働省で連続装用の承認を受けたレンズのみです。その承認を受けていないコンタクトレンズは、たとえ医師の許可があっても連続装用をすることはできません。
連続装用のできる多くのレンズは、レンズ名に「EX」と言う表記を付けている商品は多いのですが、これ「Extended-Wear」のことで「拡張された-付ける・着る」と訳されるので、連続装用の雰囲気が伝わってきますね。中には「EX」と表記されていないレンズもありますので、その点はご注意ください。
連続装用できる期間
日本国内で承認されているEXレンズの多くは最長1週間の連続装用が認められていますが、中には30日間の連続装用が認められているレンズもあります。
どのような人が連続装用するのでしょう?
職業柄、夜勤勤務のある人
夜勤と言っても中には仮眠ができる仕事もありますが、多くの夜勤のお仕事は夜通し、もしくは何かあった時には即仕事に従事できる状態でいることを求められる仕事が多いようです。
例えば・・・看護師さん、消防士さん、警察官など。
環境的にレンズの着脱やケアが困難な状況で従事する職業の人
仕事の中には環境的に「衛生的な環境」で仕事をしている人たちばかりではありません。過酷な環境、不衛生な環境下で仕事をしている人たちもいます。
例えば・・・自衛官や災害救助に携わる人など。
自身でコンタクトの着脱が困難ながら、コンタクトレンズの必要性のある人
ご高齢の方で、白内障などで水晶体を摘出するも、様々な理由で眼内レンズを利用することが困難な人たちが一定数おられます。
そのような場合、メガネで対応できればいいのですが、水晶体に近い度数をメガネで矯正しようと思えば様々な不都合な点が出てきます。
メガネで不都合な点はコンタクトレンズの装用にすると概ね改善ができますが、その場合コンタクトレンズの着脱が不可欠になります。
しかし高齢や認知症などの影響で自身での着脱が困難な場合、一定期間連続装用し病院を受診、そこでレンズを外し、ケアをして再度レンズを装用して帰宅する、ここのような流れでコンタクトレンズを利用している人がいます。
連続装用のリスク
目の悪い人にとって、「目が覚めた時に見える」と言うことに対しては誰もが憧れを持っていると思います。またコンタクトレンズを外さずにそのまま眠ることができたら・・・なんて折に触れて考えがちだと思います。
人間の黒目(角膜)は酸素を常に必要としています。つまり呼吸しているわけです。目の上に何もない状態を100としたら、就寝時、つまり目を閉じているときには角膜への酸素供給量 は開眼時の33%に減ると言われています。
そこにどのように性能のいいコンタクトレンズであっても異物があったとしたら・・・
連続装用は、酸素不足から眼に障害が生じやすいため一定のリスクがどうしても伴います。お仕事柄どうしても必要な場合はやむを得ないとしても、「面倒だから」とか「目が覚めた時にすぐ見えていると楽だから」というような理由で連続装用をするにはリスクが高いと言わざるを得ません。
そのため多くの眼科医がそれなりの理由がない限りは連続装用に対する「許可は出していない」と言うのが実情ではないでしょうか。